第二章(異世界へ)

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ひざまずいているゴブリンの中には、涙を流している者もいた。2人は、驚いた。魔物が涙を流すなど、思ってもいなかったのである。2人は、何か罪悪感めいたものを感じた。その時、マオが足元の小石をうっかり蹴ってしまった。カランカランと、音をたてて小石が転がった。祭壇の前で、ひざまずいていたゴブリン達が一斉に振り向いた。 レナン:ヤバい!見付かってしまった! マオ:ごめんなさい!私の、せいね! レナン:そんな事より奴ら、一斉に僕達に向かって来ますよ!? マオ:ここでは、かえって危険だわ!通路へ、逃げましょう! 2人は、さっき出て来た通路の入口を目指して走り出した。ゴブリン達は、散り散りになった。レナン達に向かって来る者。逃げ出す者。ただ、ぼんやりと立っている者。様々だった。ようやく、通路の入口に着いた2人はマオが通路の奥に入り、その前にレナンが立って身構えた。向かって来る者は、レナンが剣で額の中央を刺す。その後から来た者は、マオが矢で射る。そうして2人は、次々とゴブリン達を倒していく。やがて、ゴブリンの数は約半分程に減っていた。すると、さっき逃げて行ったゴブリン達が戻って来た。手には、通常より太くて大きな棍棒を持っている。どうやら、逃げたのではなく武器を取りに行っていた様だ。ぼんやりと立っていたゴブリン達も、我に返った様に2人に襲い掛かって来る。だが、2人が細い通路の中に居るため1体ずつでしか、攻撃して来る事が出来ない。レナンは、もう扱い慣れた剣の先で確実に額の中央を刺す。マオも、正確な狙いでゴブリンの額の中央を矢で射抜く。ゴブリン達は、次々と倒れていく。ゴブリン達は、仲間の死体を脇に避けながら2人に殴り掛かって来る。そうこうしている内に、ゴブリンの数は数える程に減ってきた。
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