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レナン:マオさん!もう少しです!
マオ:ええ!分かったわ!
次々と殴り掛かって来る、ゴブリンの攻撃をかわしながらレナンは額の中央へと剣を刺す。マオも、後ろから矢を射る。悲鳴をあげながら、倒れていくゴブリン達。それを脇に避けては、次のゴブリンが殴り掛かって来る。そして、最後の1体になった。それは、さっき祭壇の前に立っていた司祭ゴブリンだった。だが、このゴブリンは戦おうとはせずに奥へ逃げて行く。
レナン:待て!逃げるのか!?
マオ:レナン君、待って!様子が、おかしいわ!
追いかけて行こうとしたレナンだったが、マオにそう言われて止まった。
司祭ゴブリンは、祭壇の裏へ行った。すると、そこからガチャガチャという変な音が聞こえて来た。2人は、注意深く通路から出た。そして、音がした方に近付こうとした瞬間「ギャ~オ~!」という叫び声が聞こえた。驚いた2人は一瞬、動きを止めた。「ギャ~オ~!ギャギャオ~!」叫び声は、また聞こえた。
レナン:何だ?今度は、何が出て来るっていうんだ?
マオ:何か分からないけど、油断しないで!
レナン:大丈夫です!少々の事じゃ、驚きませんよ!
それは本当だった。この世界へ来たばかりの頃は、驚きの連続だったが今ではもうすっかり慣れてしまっていた。何しろ、今まで何体もの魔物達と戦って来たのだ。度胸は、ついていた。やがて、司祭ゴブリンが姿を現した。「キキーッ」と後ろを振り向き声を出すと、レナン達の方を指差した。2人は、何が出て来るのかと身構えた。やがて、ズシン、ズシンと地響きが聞こえて来た。2人は、何事かと互いに顔を見合わせる。すると、祭壇の後ろからズシン、ズシンと地響きを立てながら身長は、ゆうに3mは超えているであろうゴブリンが現れた。頭には2本の巨大な角、手には棘が沢山付いた金棒、口には牙が光っている。その姿は、鬼そのものだった。
レナン:で、でっけぇ~!何だ、こいつ!?
あまりの驚きに、思わず声をあげてしまった。少々の事じゃ驚かないつもりだったが、これは少々の事とは言えない…。
マオ:私も、こんな巨大なゴブリン初めて見たわ!
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