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レナンは、下を向いたままだった。やがて店主が、料理を盛った皿を幾つか持って来た。
店主:はいよ。お待たせ、腹一杯食ってくれ。
そう言うと、持って来た皿をテーブルに並べた。
マオ:おじさん、有り難う。それじゃ、戴きます。
そう言って、料理を食べ始めた。勿論、レナンも食べ始める。見た事のない料理だったが、どれも美味しかった。レナンは、無言でガツガツと食べる。それだけ、腹が空いていたのだ。
店主:おいおい、凄い勢いだな。じゃあ、次を持って来るか。
そう言って、店主は店の奥へ姿を消した。マオとレナンは、無言で料理を食べていた。と言っても、レナンが殆んど食べていたのだが…。テーブルの上には、空になった皿が積まれていく。しばらくすると、また店主が料理を持って来た。そして、空になった皿を下げて次の料理を置く。これも、見た事のない料理だったが、美味しかった。マオは、のんびりと食べている。レナンとは、全く逆である。瞬く間に、皿は次々と空になっていく。
マオ:レナン君。そんなに、慌てて食べなくても大丈夫よ。
レナン:だって、これからお城に行くんでしょ?なら、急がないと。
マオ:大丈夫。別に時間を決めている訳じゃないから、もう少しゆっくり食べなさい。
レナン:はい。分かりました。
そう言うと、食べるペースを落とした。やがて、2人は食事を終えた。奥から店主が出て来て、マオに話しかけた。
店主:どうだった?美味かったか?
マオ:ええ、とっても美味しかったわ。ねっ、レナン君。
レナン:あっ、はい。どれもとても美味しかったです。
店主:そうか、そいつは良かった。
レナンは、ノアールから貰った財布からお金を出して払った。また、マオに払わせては申し訳ないと思ったのだ。
店主:マオちゃん達は、これからどうするんだ?
マオ:うん。お城に、ちょっと用があるから行くつもりなの。
店主:そうか、気を付けて行きな。
マオ:ええ、有り難う。それじゃ、おじさん。ごちそうさま。
そう言って、2人は店を出た。店の外は、活気に溢れていた。まるで、姫様が魔王に捕まっているなど嘘の様だった。レナンは、不思議に思った。
レナン:マオさん。姫様が魔王に捕まっているのに、ここは、随分活気が溢れていますね。皆、気にならないのかな?
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