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颯『つーかさ、やっぱ無理だろ』
咲『あははは…』
時間が
経つにつれて
人が次々と増えていく。
きっと
メインイベントの
花火を見ようと集まっているんだ。
ドンッ。
咲『わわわっ』
人が多くて
私は行き行く人の
波に完全にのまれていた。
ぎゅっ。
咲『…っ!!?』
不意に握られた手。
握った相手は
言うまでもなく颯斗。
咲『あ、あの、て、て…』
颯『あ?お前が、迷子にならねぇようにだよ。』
咲『////』
そういえば
昔もそう言って
私の手を握ってくれたよね。
色々と
変わっていたけど
変わっていないことも沢山あった。
咲『あ…』
目の前には
綿菓子が売っていた。
花火が
始まる前に1つ買って
2人で仲良く
半分こして食べたよね。
颯『ほら。』
咲『あ、綿菓子 …』
いつのまにか
颯斗の手には
昔から変わらない
袋にはいった綿菓子を持っていた。
颯『欲しいんだろ?ヨダレたれそうだったぞ。』
咲『え、うそっ!!?』
颯『ハハハッ、んなの、うそに決まってるだろ。ばーか。』
咲『////』
口いっぱいに
広がる綿菓子の甘さと
久々に向けられた
大好きだった君の笑顔。
ずっと
このまま
颯斗と一緒にいたいーーーー。
颯『お前は何年経っても相変わらずバカで変わらないな。』
咲『バカバカ言わないでよ…』
もしも今
颯斗に
気持ちを伝えたら
あの頃に戻れるのかな?
なら、私は…
咲『あのね、私…本当は』
良『咲良ちゃんっ!!』
名前を
呼ばれ振りかえる。
すると
そこには息をあげ
汗だくの良太郎くんがいた。
良『ハァハァ、よかった、無事で…』
咲『…ッ…』
胸が痛んだ。
こんなにも私の事を
心配してくれてる人がいたのに
私は
自分の事ばかり考えてた。
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