誕生日の贈り物

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 もうすっかり飽きてしまったけど、もう一度、家をくまなく探す。  ……何も無いし、誰も居ない。    ──何で私だけ──……。  考えても考えても、分からない。  私は、良い娘を演じてきた。  成績は中の上をキープしてきたし、我が儘も言ってない。家の手伝いだって私が一番している。  なのに、……何で。  ────どうして私なの……。  うちの家族が、私を疎ましく思っていることは知っていた。態度で分かる。  私の親は、何故か私の悪いところしか見ようとしない。  どんなに良いことをしたって、誉めてくれない。  それどころか、必ず裏があると言う目で見られる。  それなのに、普段悪さばかりする姉がたまに手伝いすると、決まって大喜びする。  裏があるのは、姉の方なのに。  胃がムカムカしてきた。何も入ってないのに、吐き気がする。  私をこんな目に遭わせて……。  だいたい、悪いのはあいつ等だ。  朝起きて、誰も居ないことを知ってから、たっぷり一時間を掛けて、家族を詰った。段々虚しくなってきて、止めた。  でも、また腹が立ってきた。 「……くそったれ」  あんな奴ら、居なくてせーせーする。ずっと邪魔だった。独りになりたかった。生きることが、苦痛たった。私にとって、家族は疎ましいものでしかない。  家でも学校でも、バカみたいにへらへらしているのに疲れて、家で笑わなくなった。  いつも他人に気を遣ってペラペラ話しているのがアホらしくなって、家で話すのを止めた。  そして、人間の集団が嫌いになった。憎くなった。  ひょっとしたら、それがバレたのかも。  狡い。  こんなにも一方的に、自分達だけ気持ちを伝えて、押しつけて。私の話なんて、何一つ聴かないんだ。  赦せない。  私はずっと我慢してたのに。  殺してしまいたいと、何度思ったことか。死んでやると、何度思ったことか。  でも、表には出さずに、ずっと良い娘を演じてきた。  ……なのに、何で…………。 「──何でだよ、ちくしょう……」
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