彼の香りは恋への誘(いざな)い[3]

５

「へー。結構あるね。ね、亜稀南チャン。5着位俺に似合うの見立てて、タグ全部とっといてくれない？すぐ戻ってくるから。俺のサイズは」

「へっ？あのちょっ…」

ワイシャツ選びに必要なサイズを言い残し、とまどう私を無視してリュウさんはどこかえと消えてしまった。

「行っちゃったよ…えー。似合うのっつったって」

私は取り合えずリュウさんのサイズを出して、シャツとにらめっこしながらもなんとか5着を選出した。

「タグも全部取っちゃってって言ってたけど、リュウさんの好みに合わなかったらどーすんの？」

私は躊躇しながらも、選出したシャツのタグや値札を全て取る。

「お待たせー、いくら？」

全てをたたみ終えた時、リュウさんは店に戻ってきた。