第一章~平和の崩壊~

11/12
前へ
/12ページ
次へ
「な、離せよ!ロッド兄」 「……せめて名前だけでも教えてくれ。もし、お互い生きていたら名前ぐらい言い合いたいだろ?」 暴れるカンヤを無視しながら隠し扉に入る前に、少女の名を聞こうとロッドは、振り向かずにいう。振り向いたら自分は、きっとカンヤみたいに無理やりでも連れて行こうとするからだ。 自分がやってあることは、命の恩人を、見捨てて自分達だけが生き残ろうとする道徳を無視したようなものだ。 だから、せめて少女の名だけでも知りたい。一生少女と自分らの罪を忘れないためだ。 少女は、出る前に相変わらずの棒読みで、ロッドの問いに答えた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加