悪魔の贈り物

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 二度目の夏が終わって、僕は空疎になる自分を止められないでいた。  なぜ、空疎になるのか。  僕は、どこへいくのか?  僕らは、どこへいくのか?  それは、誰にもわからない。    ふと、自分自身に問いかけて、自分の中に何もないと知った時の絶望感。  それは、酷く苦しいものだ。  だが、人生は続く。  二度目の夏……。  問題は何から数えて二年目かということ。  そんなものは、決まっている。  彼女が死んでから、二年目……そういうことだ。  新米の社会人だった僕は、社会に溶け込みつつあった。  会社に行き、同僚上司、後輩に、お早うの挨拶をし、業務をこなす。
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