悪魔の贈り物

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 お給料日に給料を受け取り、腹が減れば飯を食べる。テレビをつけて、バラエティ番組やニュースを見て、眠くなったら寝る。  繰り返しの毎日。  ……ただ、彼女がいないだけだ。  時々、それが、僕をどうしようもなく追い詰める。  彼女は高校の同級生だった。  きっかけは、一年の一番最初、高校生になるというので、期待に胸を膨らませていたころ、隣の席に座ったのが彼女だった。 「アナタ名前はなんていうの? アタシは……」  情けないことに、挨拶をしてきたのは、彼女の方だった。それを今も覚えている。  快活そうな笑顔。  どちらかといえば、内向的な僕は、返事を返すのにも酷く戸惑ったものだった。 「何、男のくせに、なよってんのね?」  大きな声で笑う女性だった。  彼女とは7年一緒にいた。
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