ハト

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ハト

「クルックー」  先輩が何か言い始めた。大人しく本を読んでてくれないだろうか。 「クルックー」  先輩が立ち上がった。何だろうあの口は、ハトの物真似だろうか。  絶対にろくでもない話なので僕は無視して本を読む。コインを指で操る練習なんかやってみたいけど、先輩の前でやると絶対に邪魔してくるのでやらない。 「後輩くん、ハトを飼おう」  それで無くても邪魔してくるのだが。  僕は仕方なく本を伏せる。 「何なんですか急に」  先輩はバッと両手を広げてクルリと回る。 「だってやってみたいじゃない。何も無いところからハトをバサーって」  この人は「やってみたい」「面白そう」ばかりで現実的な事を考えない。 「ハトを使って何かやりたいのは分かりますけど、そのハトはいったい誰が世話するんですか」  ここで先輩得意のキョトン顔。 「後輩くんハト好きじゃなかったっけ?」 「好きじゃないですね」  ええ!? とのけ反って驚く先輩。この人はきっと漫画か何か見すぎてるんだ。 「……まぁハトを飼うかどうかは別にして、ハトを使ったマジックはやってみたいですね」
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