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また憂鬱な、夜が来る。
「兄様、私も連れて行って!鍛錬も欠かさなかったし、足手まといにはならない。」
「嫌です。」
「どうしてっ!_私、宮中1強い自信あるのに。」
「ダメです。」
「なんで「貴女には命令が下ってないでしょう。」
「でも、わた_「貴女がいくら宮中1強いとしても、我々の第一にすべき仕事は王の命令に従うこと。それを守れない限り、貴女は戦場には出してもらえないと思いますよ?」
そこまで言って、ようやく僕の妹_クノウは黙り込んだ。
僕に命令が下る度にこうしてついて来ては、一悶着を起こす。
王はクノウのことを考えて命を出さずにいるのに……なんでアイツはそれが解らないんだ?
思えばアイツはいつでも僕のマネをしたがった。
今だって同じ、宮仕えだし。_まぁ、そうなることを辞めさせなかった背景もあるが。
とにかく僕は、この時間が苦痛に感じて仕方ない。
今ので大分時間を浪費したな。
早足に謁見ノ間へと急ぐ。
まったく、毎回余計なことを……やがて謁見ノ間の扉の前に来た。
ひとつ息を吸って、ゆっくりと扉を開く。
「待っていたぞ、クロウ。遅かったわね。」
部屋の奥にある大きな椅子に鎮座するのは、我が国王、ローザ姫だ。
歳はクノウと同じくらいか、もしかしたら下であられるかもしれない。
そう、これこそがクノウが戦場に駆り出されない大きな理由なのだ。
いくら国の為と云えど、自分と同じくらいの歳の、しかも女を戦場に出すのは忍びない、
と、お考えであられるローザ様は、今の戦場が余程苦しくならない限りはクノウを戦場に出す気は無いと僕に仰って下さった。
歳が近いのと、クノウの分け隔てない接し方を、ローザ様はいたく気に入っておられ、何かとご用つけをされたりする。
そんな人材を失いたくないというのも、背景にあるのでは、と僕は最近思い始めた。
「遊撃部隊長、クロウ、ただいま参りました。」
僕の所属するのは、軍の中でも本来の仕事とは別に軍に所属している部隊を遊撃隊という。
……表向きは。
実を言うと、特殊な人間を集めた部隊が遊撃隊となっている。
「__"眼"の調子はどう?」
「"回復"には幾分、時間を要するみたいです。いずれは"戻る"ようですが。」
「では、無茶をいたさないように気を払ってください。」
「有難きお言葉。」
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