恋愛かく語りき

ひとつめの話。

さて、まずお話せねばならんのは和室で読書をしながら珈琲をすすっている私の膝の上を陣取るうえに膝枕を強要させ、寝息をたてているコイツ、もとい彼女についてであろう。

彼女「星 楓」は１日の大半は着物の着付け教室で偉大な先生として今日も多くの生徒から「可憐な容姿で柔らかな雰囲気をまとう大和撫子」と崇め奉られている。

しかし、それはあくまで仕事中だけの話である。

私「佐伯 春」と彼女が住んでいる
(部屋数が大家さんの部屋を含め6室しか存在しない)花見荘に帰ると彼女は、
「柔らかな雰囲気をまとう大和撫子」から、「残業帰りの荒れた雰囲気をまとう親父もどき」へと変貌をとげる。

しかし、この変化も私の前だけなら見せられる無防備な姿なのだと解釈すれば、むしろそれは嬉しいことである。

いや、決して私はそういうイタイヤツではない。