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相変わらず木々は立ち並んでいた。相変わらず家は崩れそうなままである。
湿った空気は私の肌にまとわりつき、進行を阻害する。
私はどうするべきなのか。このままこの村にいてもよいのだろうか。思考を巡らせるが答えは出ない。
老婆に頼るほかあるまい。私はそう思い、老婆に解決を乞うた。
すると
「私はこの瞬間、生を授かった。お前に必要とされた。二度目の誕生を得たのだ。」
老婆は語調を強めて話し始めた。
「お前は他者の必要を得られないでいる。お前の価値はなんであるか。」
いきなりの話に私は困惑する。
「私の家は自由に使うがよい。私にそれは必要ない。」
なにが起きているのか。解らなかった。
老婆はそういって村の外へ歩いていったのだった。
私が家に戻ると、柱は消えていた。依然として家具は散乱し木は繁っている。
私はいつまでこの村にいればよいのか。それは私にもわからない。彼らにもわからないであろう。
生を無に費やす人生はどこまで続くのであろうか。
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