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すでに外は薄暗くなり始めている。
カーテンの隙間から漏れる弱々しい光。
煙草を口に加えたまま左手首の虎の目の数珠を外し両手に挟めると
複雑な気持ちでその光に祈る。
『今日も無事でありますように…』
暫く物思いにふけると虎の目をテーブルの上のハンカチに静かに置いた。
『風呂でも入ろ…。』
一度、肺に溜め込んだ煙を吐くと
口に加えていた煙草を灰皿に押し付ける。
右手の震えは
いつの間にか治まっていた。
これは約10年前…雪が降りしきるある東北の街で
19歳で夜に飛び込み25歳まで過ごしたミヤと言う女の物語。
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