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【どうしようもできなかった!!
どうしようも、できなかったんだ……。
(滲んでいる)】
《カツーンッ
カツーンッ
カツーンッ
次第に近づいてくるその足音に、誰しもが構える。
「やだ、……やだ、やだ、やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ」
ミエも立ち上がりはしたものの、両耳を手で塞いで独り言を言い続けている。
カツンッ
カツンッ
カツンッカツンッ
カツンッ
カツンッカツンッカツンッ
カツンッカツンッカツンッカツンッカツンッ
徐々にそのスピードは増していき、距離が近づいていく。
カツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッ
「いやぁぁぁあああああ!!!」
ミエは泣き叫び、前方へと、その自分の足音から逃げるかのように走り始める。
「ミエ!!」
ヒロトが名前を呼ぶも。その後ろ姿はすでに暗闇に消え、二つのヒールの足音が響き続けた。》
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