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《カツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッ
ヒロトとナツコの間を縫うように、その足音は。
いや、その足は通り過ぎて行った。
すでに、足音と呼ぶには相応しくない早さになっており、すでに人間の速さを越えている。
踵の高い白いヒールを履いたその足は膝から上がなく、血を吹き出し、せっかくの白を台無しに赤黒く染めていた。
どこかでみた、その足は奥へと進む。ミエの逃げたその先へ。
カツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッ
カツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッ
トンネルに響き続ける二つの足音は、次第に一つの足音になり。
カツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッカツンッ…………。
パタリと止んだのだった。》
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