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【あの時、エイジが最後尾でなければ。また、運命は変わっていたのだろうか。
今となってはもう遅いが、できることなら(ここから少し、滲んでいるせいで読めなくなっている)】
《ヒュォォオオオオと、風が大きな音をあげながら、トンネルの暗闇の中へと吸い込まれていく。
「まったく、男なのにだらしがないな。さっさと行くよ」
カメラを持っているヒロトの前を、ナツコは臆しもせずにスタスタとトンネルの前まで進んでいく。
それぞれの手にはエイジに渡された懐中電灯。
入る順番は先ほどエイジの提案でジャンケンで決めた。
ナツコ
ヒロト
ミエ
エイジ
という順番だ。
本来ならばエイジが先頭のはずだったが、先頭はイヤだと頑なに拒んだ為、最後尾であるナツコが変わってあげた形なのだが。
他を気にせず1人でどんどん進んでいくナツコに、残りの三人も取り残されまいと早足にその後に続いた。
ナツコを先頭に、トンネルの中へと足を踏み入れたのだった……。
コツ、コツ
四人はそれぞれの足音をトンネルに反響させながら前へと進んでいく。
最初の異変はすぐに起きた。
真っ先に気づいたのはエイジだった。》
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