夢か現実か。

8/10
前へ
/25ページ
次へ
【もしかしたら、あの時点で引き返していれば、誰も足にならずにすんだのではないだろか。 ……なにをどう考えても後悔しかない。】 《どのくらいの時間を歩いたのか、その感覚すら麻痺するほどの時間が経った錯覚に陥る。 4人は黙々と歩みを進めていた。5人分の足音を聞きながら……。 「も、もうやだよ! 帰りたいよ! 帰ろうよぉ!!」 最初に限界に達してしまったのはミエだった。 その場に座り込んだミエを全員がみつめる。 だが、誰も何も言えなかったのは、皆同じ気持ちだったからだろう。 それでも口を開いたのはエイジだ。 「どうやってだよ……っ。すぐ後ろから足音がするんだよ!」 その声は恐怖に震えていた。それもそのはず。 最後尾で一番近くに足音を聞いているのはエイジなのだ。 その音は今もなお、少しずつエイジの背へ近づいている。 「頼むから、止まらないでくれ……」 今にも泣き出しそうなほど弱々しい声をあげるエイジ。》
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加