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【もしかしたら、あの時点で引き返していれば、誰も足にならずにすんだのではないだろか。
……なにをどう考えても後悔しかない。】
《どのくらいの時間を歩いたのか、その感覚すら麻痺するほどの時間が経った錯覚に陥る。
4人は黙々と歩みを進めていた。5人分の足音を聞きながら……。
「も、もうやだよ! 帰りたいよ! 帰ろうよぉ!!」
最初に限界に達してしまったのはミエだった。
その場に座り込んだミエを全員がみつめる。
だが、誰も何も言えなかったのは、皆同じ気持ちだったからだろう。
それでも口を開いたのはエイジだ。
「どうやってだよ……っ。すぐ後ろから足音がするんだよ!」
その声は恐怖に震えていた。それもそのはず。
最後尾で一番近くに足音を聞いているのはエイジなのだ。
その音は今もなお、少しずつエイジの背へ近づいている。
「頼むから、止まらないでくれ……」
今にも泣き出しそうなほど弱々しい声をあげるエイジ。》
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