流れ星

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一つの流星が輝いている間に願い事を三回唱えると、その願いが叶う。 「あ、流れ星」 ……てゆーかさ、無理だよね。 流れ星って、一瞬だよね。一秒あるかないかだよね。 三回とか、無理じゃん。 ハナから叶える気ないじゃん。詐欺だよ。 と、長年そう思っていた。 が、遂に。遂に俺は、それをクリアする案をひねり出した。 「かねかねかねッ!!」 シンプル・イズ・ザ・ベスト。 俺の滑舌をもってすれば、三回繰り返すのに一秒も要らない。 つまり、これで俺は金持ちだ。 俺は今年、大学を卒業し、そこそこの製薬会社に就職した。 素晴らしいことに寮がある会社だ。 女手一つで、ここまで育ててくれた母ちゃん。少しでも楽させてやりたい。 寮暮らしなら、生活費を大分節約出来る。俺の世話をしなくて済む分、母ちゃんの負担も減らせる。 奨学金の返済だって出来る。 一石──……、何鳥だ? ま、いいや。 とにかく。俺は切実に金が欲しい。 勿論、自分で稼ぐ努力はする。 それプラス、マジカルなサプライズマニーにも、期待してる。 ……それくらい夢見たっていいじゃない。 ま、なんだ。 とにかく俺は、流れ星の恐るべき速度と、三回と言う鬼畜的ルールをクリアした。 「……っはは。頼むぜ。流れ星」 俺を金持ちにしてくれよ。
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