3人が本棚に入れています
本棚に追加
一つの流星が輝いている間に願い事を三回唱えると、その願いが叶う。
「あ、流れ星」
……てゆーかさ、無理だよね。
流れ星って、一瞬だよね。一秒あるかないかだよね。
三回とか、無理じゃん。
ハナから叶える気ないじゃん。詐欺だよ。
と、長年そう思っていた。
が、遂に。遂に俺は、それをクリアする案をひねり出した。
「かねかねかねッ!!」
シンプル・イズ・ザ・ベスト。
俺の滑舌をもってすれば、三回繰り返すのに一秒も要らない。
つまり、これで俺は金持ちだ。
俺は今年、大学を卒業し、そこそこの製薬会社に就職した。
素晴らしいことに寮がある会社だ。
女手一つで、ここまで育ててくれた母ちゃん。少しでも楽させてやりたい。
寮暮らしなら、生活費を大分節約出来る。俺の世話をしなくて済む分、母ちゃんの負担も減らせる。
奨学金の返済だって出来る。
一石──……、何鳥だ?
ま、いいや。
とにかく。俺は切実に金が欲しい。
勿論、自分で稼ぐ努力はする。
それプラス、マジカルなサプライズマニーにも、期待してる。
……それくらい夢見たっていいじゃない。
ま、なんだ。
とにかく俺は、流れ星の恐るべき速度と、三回と言う鬼畜的ルールをクリアした。
「……っはは。頼むぜ。流れ星」
俺を金持ちにしてくれよ。
最初のコメントを投稿しよう!