流れ星

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「あー、さみぃ」 吐く息が白い。 睫に触れる雪が、しんしんと冷え込む冬を一層寒くさせる。 「…………」 ……頼むぜなぁ、おい。 俺に金をくれよ。 もう、時間がないんだ。 何だよ畜生。 この就職氷河期とか言われちゃってる時代に、そこそこ良いとこ就職したってのに。 これからだってのに。 ……やっと、親孝行出来るようになったってのに。 なんだよ。 癌って。 しかも末期とか。笑えねぇー。 意味わかんねぇ。 なんなんだよ。ちくしょう。 だから病院行けって言ったんだ。 診察代ケチってまで、俺にうまい飯食わしてくれる必要無かったんだ。 こんな事になるなら、三食ふりかけご飯でも良かった。 俺のことばっか考え過ぎなんだよ。 ちくしょう。 「……ちくしょう」 あー、夜空のお星様が眩しいねー。 もっと降って来いよ。 降って来て、俺の願い、叶えてくれよ。 なぁ、頼むよ。
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