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思わぬ行動にびっくりしてもうたけど、とは言え成人男性の握力とは思えん弱々しさ。
やっぱり、手術が負担になっとるんやろ。手の温度も低い。
「ひなさんやないでぇ、丸ちゃんやで。手、はなそうな」
ゆっくり外そうと細い手首に触れると、離れたくないと言いたげに指が絡んできた。
「ワオ!積極的ぃ☆」
いやいやいや。ちゃうやん。
何を喜んでんねん。
でも、心なしか冷たい指先から寂しさが伝わってくるような気がしたんで、勢いで訊いてみた。
「ひなさんやないけど、一緒におったほうがええ?」
僕の手に絡む小さな手がキュッと握り返してきた、気がした。
「ほな、他の患者さんに呼ばれるまでやでっ」
僕は手を繋いだまま、ベッドの脇に膝をついた。
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