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ホンマはあかんのやけど、手を離してくれへんのを言い訳に、922号室に入り浸る僕。
脈拍も血圧も計ったし、点滴も替えたばかりやから、何もする事がないので、目の前の小さな顔をしげしげ見る。
大きな双眸、長い睫毛、素直な鼻筋、均整のとれた唇。
「きれいやなぁ~」
腕に巻かれた生年月日を記した紙バンドを確認すると、年齢は僕より二つ上。
確かに31歳なりの目尻のしわとかはあったりするけど、そんなことはどうでもよくて、妙な感動まで覚えてしまうほど僕の好みにドンピシャみたいや。
ちょっとふざけたらキスできるくらいの至近距離で、31歳のおっさん相手に胸をときめかせてる29歳の看護師(♂)。
うわぁ、字面だとえげつなー!でも。
キスしたい、この唇に。どうしようもなく。
心臓が、バーンて弾けて燃えとる。
一発さわやかにかまして、突っ走ってもかまへんのとちゃうやろか。
真っ白になったら本望や。
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