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何も言わない小さな暴君は、苦しそうに肩で息をしとる。
「つらそうやな。この辺、しんどいん?」
背骨の浮き出た背中をゆっくりとさすれば、だんだん落ち着いてきはったみたいで、潤んだ瞳で僕を見つめる。
「ま、まるや…」
「丸でええよ」
「まる、俺、心臓、___変や」
薄い胸に聴診器をあてがうと、思いのほか心拍数が早い。
「ああ、ほんまやな。めっちゃドキドキゆうとる。手術で負担かかったのかもしれへんわ。___点滴増やさんとあかんかも」
「いやや」
「せやろな。ちょっと先生に訊いてくるわ。」
「まる!」
「ん?」
「…ほかの患者の下の世話とかしたりすんねやろ?」
「うん、するよ。動かれへん人の時は。トイレ行きたいん?でも、歩けるやろ?」
「ちゃうねん……お前も男やったらわかるやろ!」
男やったら…。
あ、そうゆうことですか!
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