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「点滴減ったやん」
「そうやねん。もう少ししたら、リハビリも始めるで!」
「良かったなぁ!あ、あの変な看護師は今日おらんの?」
まるの話題を振られて、必要もない罪悪感に苛まれる俺。
「___今日は非番やて」
「そーかー。あ、そや、これさ、使わへん?」
「何ソレ?」
ヒナは大きなビニール袋を、これまたガサツに取り出してベッドに放り出す。
「たつのツレの服。すばると同じくらいちっさい男やったから着替えにええかな思て」
「なんじゃこのけったいな服!パジャマにもならんわ!」
ヒナは、スーツとかめっちゃ似合う羨ましい体型のくせにファッションに1ミリも興味がなくて、普段のカッコウはかなりヒドイ。
俺が古着が好きなん、社内でも結構有名やのに、未だにこんなもん出しよるし。
「ふはっ!やっぱアカンかぁ」
「社長息子は変なヤツにつかまったんか?方向性によっては転職も考えなあかんわ」
「ふははは!大丈夫やって。服とか髪型とかメチャクチャやけど、ホンマに優しい男やったで」
ああ、好き。
「ほーん。なんか俺のまわり、ホモばっかりやな!」
「うはははは!ホンマやな!」
八重歯をむき出しにして楽しそうに笑うヒナ。俺はコイツの素直で豪快なところが好きや。
「___ヨコとはうまくいってんの?」
「うん。昨日も電話したし」
「そっか。あいつも優しいし、気ぃ使いぃやし、彼氏にはええやろ」
「うん。けどな、たまにドSみたいなん出してきよるからさ、びっくりすんねん!」
「おいおい、何されたん!」
「え?あ、まぁ___ちょっと…」
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