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ヒナはいらんゆうのに、トンチキな服をぎょーさん置いてった。
どおせえゆうねん。
いつもやったら、まるがかまってくれるんやけど、今日はお休みやからいつもより静かな俺の部屋。
外はしんしんと雪が降り積もっとる。
乾いた下唇をなめたら、昨日の熱を思いだした。
ヒナが来てくれんかったのが寂しくて、あてつけにまるを利用した。
謝らな、と、思っている。
惚れてしまったなんてゆうてたけど、どうゆうことなんや。
変なやつ。
ただ、おもろい変な生き物は、思た以上に俺の脳内を支配してて、あのへにゃへにゃした笑顔を思い出すと、俺の先端はいっつも充血するんであって、膨らむんであって。
「渋谷さん、消灯ですよ」
慣れない左手で手慰みを始めようかと思てたとき、大柄なナースが点検に来た。
俺は慌ててしまって、いつもせんのに声をかけてしまう。
「あのぉ…、丸山さんはいつ来るんですか?」
「明日の夜からですよ」
明日の、夜か。
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