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「入るで」
少し怒ったような低めの声。みんな寝静まった深夜に呼び出したから、さすがのまるも腹立ったやろか。
俯いたままのまるは、後ろ手で慎重に扉を閉めると、大きく深呼吸した。
意を決したようにずかずかとベッドに近づくと、俺の身体を抱き起し、腕の中にぎゅっと包み込む。
予想外の行動に、思わず顔を覗き込んだ。
「まる?」
暗がりに浮かび上がった表情は、今まで見たのンとは違った。
こいつ、こんな男前やったか?
顔ががっと近づいて、噛みつくみたいにキスされた。
もう、どっちのんかわからんくなるくらいに唾液の交換をする。
吸うて、吸われて。
苦しいけど、この感じが好きや。
ああ、そうか。
キスって気持ちが気持ちええもんやったわ。思い出した。
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