あの日、シバレタ

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まるが来やんくなってから、俺は悲しくて悲しくてどうしようもなかった。 食欲はのうなって、点滴は入院当初よりも増えてしまった。 こんな俺なんて、はやくぶっ壊れてしまえばええのんに。 息ばっかり、しゅうしゅう漏れんねん。 ベッドで横たわっているのが辛くなることが多くなって、そのたんびにナースを呼びつけてベッドを動かしてもらい、椅子に座るような体勢にしてもらう。 あの日の雪が跡形もなく溶けた外の景色を窓から眺めながら、この苦しい気持ちはいったいどこから来るのンか考えてみる。 太めのナースが不器用に動かす可動式ベッドの軋む音を聞いていたら、俺の太ももに触れた手のひらの湿り気を思い出した。 頼まれたことだけを機械的に済まして、ナースはでかい尻を揺らして出ていった。
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