あの日、シバレタ

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* ほんのちょっと世話してもろて、一回だけまぐわっただけなのに、なんでこんな気持ちになるのんかわからんかった。 俺はまるのことを何も知らないのに。 何か勘違いしてるんじゃないのか何度も自分に問いかけてみても、俺は気がつくとまるのふにゃふにゃした顔を思い浮かべていた。 俺はまるのことが好きやった。 たぶん、初めて会ったときから好きやった。 そうはっきり言葉にしてまうと、座ってることすらできんくらい苦しくなって、枕に顔を押し付けて胸の中の息を全部吐き出した。 「まるが好き」 ちっさい声で言ってみた。 かすれて頼りない声は、白い枕にすぐ吸い込まれていく。 「俺は、まるが好き」 顔をあげて仰向けになってもう一度言ってみた。 耳がじんじん脈打って、数本の管の先端が刺さった皮膚がジリジリ痛んだ。 俺は、今、言葉にした気持ちをまるに知ってほしいんやろうか。 知ってほしいのに、言えないから、会えへんから、こんなに苦しいんやろうか。 もし、好きやって言ったとして、俺はそれからどうすればええ? その先にいったい何があるん?
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