あの日、シバレタ

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* まるは看護師しか入れん休憩室に、俺の手を引いて連れてきた。 長椅子に俺を座らせて隣に腰掛けると、ぎゅっとしてくれた。 あったかかった。 「点滴、増えてるやん」 「お前のせいや」 言うたら最後、涙がおんおん流れてしもて、まるをぼこぼこ殴って責めた。 「こんなん続けたってしゃあないやんか、お前は来やんくなるし、いつまでも弱いだけや。俺、一生ここから出られへんねん!」 「そんなん言うな!よくなっとる。大丈夫や!」 まるの目ぇは強かった。俺の中に入っとった時の、怖がってたのんとは違った。 初めてまるに怒られて、俺の涙は一瞬止まった。 まる、それ見て 「ごめん」 て言うた。 まるは悪ない。悪いんは俺。 「俺がこんなんで迷惑やろ?」 て言うたら、 「最高にかわええ」 って、俺をまたぎゅってしてくれた。
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