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「ほいじゃ、行くわぁ」
後ろのヒナに靴べら渡して立ち上がると、
「ヨコ、忘れてんで」
なんて言う。あれ、なんか忘れてたか?
「携帯、鍵、財布。三種の神器、ばっちり持ったで?」
振り返るとまだ半裸のまんま、常套句のような笑顔で仁王立ちしとるヒナ。
「アレやんか、行ってらっしゃいのヤツやんか」
うわ。
何言うてんねん。頭沸いてんのか?
「____せぇへんわ」
ドアノブに手をかけると、ヒナは慌てて俺の腕を引く。
「しよっ!な、ヨコ、しよっ!!」
「なんやねんな、もぉ~!」
強引に顔を両手で掴まれた玄関先。
唇と唇が重なる前に、立派な八重歯が俺の歯にぶつかった。
「痛っ___ヘタクソかっ」
「ごめん!もっかい!」
「あかん!もう出る!」
「じゃあ、帰ってきてから続きな!」
「―――――。」
悪びれもせずに、まっすぐ俺見るコイツには、多分、一生勝たれへんわ。
「すばるによろしくなぁ」
「おぅ」
「あっ、そうや!」
「今度はなんじゃ」
「エ○マグラってなんなん?」
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