112人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
狭いながらも寂しい我が家に迎え入れると、すばる君は僕の腕に薄い身体をきつく押し付けて、黙ったままやった。
「すばる君?」
僕は、隣でじっと固まってる小さな顔を覗き込んで、大きな目をじっと見た。
すばる君も僕の顔をじっと見た。
すばる君の黒目は潤んでいて、ゆらゆらと揺れていた。
目の光が急に強くなったと感じた時、喉から絞り出すように声を出しはった。
「まるが好きや」
そう言うと、瞬きひとつしない目から涙が溢れて、頬を流れてあごにたまった。
「まるが、好き」
吐息が漏れるような声でもう一度繰り返すと、小さい指で僕の口の下のほくろに触れる。
「俺のこと、抱きたいと思うか?」
僕は、はい、と答えた。
最初のコメントを投稿しよう!