第1話

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「ホンマの事言えや」 「何を?」 「俺にまで嘘つかんでええやろ?それにお前、俺に嘘ついてもすぐわかるっちゅうねん」 「何聞いたらいいん?元気やったとか?痩せてなかったとか?」 「怒んなや。素直ちゃうなぁ」 「うるさい。ほら、ここはいるよ」 不機嫌になりながらも足を止めたのは小さな定食屋さん。 支店準備の時にたまたま見つけたお店。 毎日の日替わり定食とうどんがあるだけ。 でもその日替わり定食が本当に美味しい。 お昼はガッツリ男性並みに食べる私には持ってこいのボリュームで、どこか懐かしい味付け。 東京に来て戸惑ったのは食べる物の味付け。 やっぱり関西とは違うんだなって実感した事を覚えている。 日替わり定食を2つ頼んで、不機嫌になった私の所為で無言の2人。 周りはスーツ姿のサラリーマンがちらほらと座っている。 私達の席だけ周りと少し違う空気を放ちながら定食が運ばれるのを待っていた。
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