第1話

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「私午後から打ち合わせで出るから」 「わかりました」 「本社から連絡合ったら直ぐ電話して、じゃ」 何とか形になり始めた支店。 毎日忙しなく過ぎていく。 お陰で淋しさを感じる余裕はなかった。 なんて格好いいこと言えれば最高なのにな。 もちろん仕事中はそうかもしれないが、一度家に帰ればそうは行かなかった。 買い物にいけば思わず癖のように買ってしまう…… 作業着用の洗剤 男物のカミソリ 洗顔料 更には一人暮らしとは思えない食料品。 お酒。 違う銘柄の煙草。 慌ててカゴから出して元の場所に戻す行為を今だに繰り返す。 1人の部屋がこんなに静かだなんて忘れていた……
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