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菊江は笑顔で百合子と櫻子を労い、今度は布団と自身の衣類、そして娘達がまとめた荷物を一緒にして、夏美の家まで運ぶ様に再び頼むのだった。
「二人共、荷物の方お願いね」
「はい。ほいたら百合子、そっちの軽い方を持ってくれんさい」
「うん」
二人は表にあるリアカーに荷物を載せると、そのままそれを引いて夏美の家へと向かった。
「二人共、良う来んさったねぇ!丁度こっちも終わったところようねぇ」
千春が出迎えると、横から夏美が勢い良く割り込んで来る。
「待っとったよ!二人共、早よう終わらせよう」
夏美に急かされるままに家へと上がり、さっそく百合子達三人は荷物の最終的なまとめに入る。
その作業の最中、不思議と夏美は上機嫌であった。鼻唄まじりにドンドン荷物を片付けて行く。
そんな夏美のテンションの高さも手伝い、思った以上に三人は早く荷物をまとめ終える事が出来たのである。
荷物をまとめ終えた途端、夏美は囃し立てる様に百合子と櫻子を台所にある茶箪笥の前へと連れ込んだ。
「どうしたん?こんとな場所に連れて来んさって」
「ほうよ、何があるん?」
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