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しかし、敵雷爆機はこの対空放火を恐れる事なく容易に弾幕を交いくぐり、さらなる激しさで大和や他の残存艦艇へ肉薄して行く。
敵の猛攻を前に、霞は直撃弾を二発受け機関部が破壊、航行不能に陥り艦隊から脱落し始める。
その間にも、大和には次々と直撃弾や至近弾が多数浴びせられ、艦全体を揺るがす。
爆発により飛び散る破片と水飛沫が、容赦なく乗組員に襲い掛かり、その命をことごとく奪い去って行く。
敵雷撃隊の執拗な攻撃は依然として大和の左舷に集中し、続け様に三本の魚雷が命中した。
この被雷で、大和の船体はギシギシと悲鳴を上げるように再び左に傾斜し始める。
有賀大佐は、やむを得ず中央防水区画内の右舷機関部のボイラー室に注水を命じ復元を試みた。
この緊急処置により、大和は徐々に傾斜を復元して行くが、それと引き替えに速力はみるみると低下、十ノットにまで速度が落ちてしまった。
その頃、艦隊から脱落していた巡洋艦矢矧は、機関部から多量の重油を垂れ流し、水面にたゆたいながら漂流していた。
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