≪金平糖≫

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 櫻子が確認すると、百合子はあっけらかんとした様子で答えるのだった。  普段はスカートを穿き馴れているだけに、百合子にとってモンペは馴染みが薄いものなのかも知れない。 「百合子!そっちにある、あんたぁとうちのブラウス取ってぇね」  既に、何着か畳まれて用意されていた自分と百合子のブラウスを櫻子は指し示す。 「あっ!これじゃね」  百合子は、目の前にそのブラウスを見付けると、それを櫻子へと手渡した。  小一時間ほど経過したであろうか、百合子と櫻子の二人は段取り良く衣類をまとめ終える。 「こんとなもんじゃろうかねぇ」  櫻子は、まとめ終えた衣類を一通り見渡しチェックして行く。 「うん、せやぁない(大丈夫)!ほいじゃあ、お母ちゃんに確認して貰おうかねぇ?」  そう言って百合子に目配せすると、櫻子はまとめた衣類を持ち上げ二人でそのまま一階へと降りて行く。 「お母ちゃん、服の方はこんとな感じでえぇ?」  まとめた衣類の確認を櫻子が求めると、菊江は一つ一つその荷物を確認する。 「うん、えぇよ!二人共、ご苦労様じゃったねぇ」  さすがは、しっかり者の櫻子である。衣類も恙無くきちんとまとめてあった。
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