素直になれなくて

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あんぐりと口を開けたまま 俺を見上げる美杏の手に ポンと携帯を渡してやった。 俺ってめっちゃカッコイイ。 そう思ったのもつかの間。 「何て事すんのよバカ!」 いきなり怒り出した美杏に またムカッと来るけど。 「元カレにでもしつこく 復縁迫られてたんやろ? 別に怒らんでもええやないか。 逆に感謝しろやボケ」 「元カレなんかじゃないわよ! 今のはウチのパパ!」 「へっ?」 「お見合いしろってうるさいから 断ってただけの事なのに… どーすんのよもう!」 …ま…まじですか。 「すっ…すまん、勘違いしてもた」 焦りながら謝った俺に 美杏は呆れたように 肩で息をついたあと フッと鼻で吹き出して やがて肩を揺らして爆笑しとる。 「わ…笑うとこか?」 「だって… 橋本…すごい 勘違い野郎なんだもん」 ケラケラ笑いながら 美杏は言うけど俺にしてみたら とんでもない失態な訳で。 「おとんに電話し。 俺が謝まっちゃるから」 「いいよもう。 帰ってから説明するから」 まだケラケラ笑いながら 言った美杏にもう一度 深々と頭を下げた。 「ホントにすまん」 俺…めっちゃカッコわる。
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