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「…だけど…
勘違い野郎じゃないよ」
…え?
って事は…?
思わず美杏の顔を覗き込みながら
瞳で問いかけると
恥ずかしそうに美杏は笑った。
…やっぱかわい。
フッと笑って掴んだままの手を
もう一度握りしめて。
けれどそれを振り払わない美杏。
時間が必要かもしれんけど
少しずつ歩み寄れるんやろか…
そんな予感を感じながら
彼女に聞いた。
「次はどこに連れて行って
くれるんや?」
「ショッピングモールでも行く?
おみやげとか買うんでしょ?」
「おぉそうやな。
おかんに何か送ってやらな」
「へぇ…橋本って
お母さん思いなんだ」
意外とでも言いたそうな
美杏に少し照れるけど。
「おかんは最強やからな。
あの人が俺を産んでくれた事には
いつだって感謝しとるで」
「…そっか。
じゃあお母さんへのおみやげは
私が選んであげる」
「おぉ、よろしく頼むわ。
食いもん以外は何がええのか
俺には、よう分からんし」
「任せといて」
なんやらいい雰囲気になってる
俺と美杏。
繋いだ手の温もりが
やけに心地よくて。
付かず離れずのこの距離も
いつか縮んで行くんやろなって
思っていた。
この時は。
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