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東雲部長と前島チーフが
去った後、無言のまま
立ち尽くしていた俺に
美杏がジロリと視線を向ける。
「朝食は?」
「…え?」
「朝御飯は食べる派なの?
食べない派なの?どっち?」
思いっきり迷惑そうな瞳で
呟いた美杏にまたカチンと来た。
せやけど、ここで美杏にまで
見捨てられたら俺、
日本に帰れへん。
引きつる笑みを浮かべて
美杏に向かって呟いた。
「食べる派…です」
なんで俺、敬語使っとんのやろ?
せやけどその返事に無反応のまま
歩き出した美杏に
悔しいけど俺も黙って続く。
最悪や。
東雲部長、
何て事してくれんのやろ。
昨日の今日でどーしたらええねん。
無言のままエレベーターに
乗り込んだ美杏と俺。
やけに静かな空間にまた
緊張が増して行く。
あかん。
胸がドキドキしとるがな。
美杏に聞こえてしまうやろか。
そう思った時、ようやく美杏が
ポツリと呟いた。
「あ、東雲部長がチェックアウトは
しておいてくれるって言ってたから」
「うぁ…ああ」
そして再び沈黙。
あ…あかん…。
午後の飛行機の時間まで
あと5時間もあるやんけ…。
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