素直になれなくて

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ホテルを出ると少し歩いた先に あった駅から電車に乗り、 美杏が連れて行ってくれたのは いかにも地元の人たちの 台所って感じの屋台。 広東語が飛び交うその場所で 日本人らしき人物は俺だけ。 買って来た朝粥を 俺の前に置くと、 「早く食べないと時間ないからね」 なんて生意気な言い方をして 向かいに座った美杏に 何か話しかけねばと思い ポツリと口を開いた。 「なぁお前って何で日本語 そんな上手に話せるんや?」 「はっ?今更それ聞く?」 朝粥を口に運びながら 答えた美杏に、またムッカー。 しかしここは完全なアウェーや。 湧き上がる怒りを必死に飲み込んで ヒクヒクと引きつる口元を 強引に笑わせて。 そんな俺の反応に 気付いてないのか 美杏はお粥をフーフーしながら しれっと答えた。 「うちの母が日本人だからよ」 「へ?」 「だから私は日本で生れたの」 「ほ…ほぉ… 日本のどこで生まれたんや?」 「それ聞いて何になるの?」 何になるって… 何にもならへんけど 話題続けたろって 思ってるだけやがな。 ホンマ一言一言が ムカつく女やわ。
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