素直になれなくて

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「自分に嘘をつかないって 一番簡単そうで一番難しい事なのに そう言い切れる橋本って スゴイなって思うよ」 「え?」 「何でもないわ。 それより早く食べて観光行くわよ」 「…お…おう」 何やらさっきまでの美杏とは 雰囲気が変わってどこか寂しそうで。 …そっか。 美杏も小野部長を消せなくて コイツなりに苦しんでるんや…。 自分の気持ちが揺らされてる事に 刃向う事に必死で すっかり忘れとったけど… 美杏は今でも小野部長が 好きなままなんやな…。 朝食を終えた俺達は 2階建てのバスに乗り込んで ビクトリアピークへと向かった。 山頂から眺める香港の街並みは 昼間でも圧巻される。 「すげぇ…」 思わず呟いてしまった言葉に 隣で美杏が自慢げに微笑んだ。 「でしょう。 香港に来たらここだけは 見ておかないと損なのよ」 「せやな…。 出来れば夜にここへ 見に来てみたかったわ」 どんだけの夜景が見れるんやろ。 そう思いながら呟いた言葉に はにかみながら美杏が答えた。 「また来ればいいじゃん」 …え?
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