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「…無理…。
え…?
今はビクトリアピークだけど…
……違うよ、
本社の人を案内してるだけ。
……だから無理だって…」
なんやら必死に断る美杏の様子に
男やな…と感じた。
元カレか何かやろか?
でも日本語で喋っとるって事は
相手の男も日本人って事か。
妄想を膨らませながら
じっと美杏の背中を見下していると
大きくため息を吐き出した美杏が
困惑したように言い出した。
「…だから前にも言ったでしょう。
好きな人がいるから…
……無理だってば…」
しゃーないな。
困っとる人を見捨てたり
せえへんのが関西人や。
そう思いながら美杏の手から
携帯電話をすっと引き抜いた。
「ちょっ!何すんのよ!」
「やかましい。黙っとけアホ」
美杏にそう吐き捨てて
携帯電話に耳をあてた。
「誰やねんお前」
『はっ?』
「俺の女に何の用やねん」
『え??』
「え?やない。
今、美杏は俺とデートしとんねん。
邪魔すんなやボケ」
『……………』
無言のままの電話の相手に
もういっちょ捨て台詞。
「しつこく付きまとったら
お前、いてまうぞコラ。
二度と電話してくんなや」
ハイ終了。
唖然としてる美杏に
ニコリと微笑んで携帯の電源OFF。
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