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コンコン
ふいに扉がノックされた。
メリエルはすぐに我に返り「どうぞ」と答えた。
「失礼します」
そう言って入って来たのはプラチナ・ブロンドの美少女。大きな碧の瞳がメリエルを捉えると優しく微笑んで彼女の側に行く。
「お疲れ様。どうしたの、浮かない顔して」
「…この世界は狭いな、アレスタ。どうしてこう、すぐに争いへと動いて行くんだろう」
メリエルは疲れきった表情で話す。
「人間なんてそんなものよ。それより、そろそろ人手不足でキツくなってきたんだけど、メリエル、まだあの考えは変わってないの?」
アレスタは話をそらしつつ本題に入った。
「ああ。この会社には私が認めた者しか入れない。父上の手の者なんて絶対に入れるつもりはない」
メリエルの言葉にアレスタは諦めたように言った。
「…この会社を初めて1年、相変わらずね。まぁ、そこが貴方のいい所だけど」
「すまないな、アレスタ。お前にはいつも迷惑をかける」
メリエルの謝罪にアレスタは笑いながら答える。
「そんなの、アカデミー時代からの事でしょう?気にしてません」
それより、と彼女は続けた。碧の瞳がすぅっと細くなる。
「貴女の方が心配よ。いくら人手不足だからって社長自ら依頼をこなすなんて」
メリエルは苦笑した。
「大丈夫だ。私はそんなにヤワじゃない。こうしないと人々の心は動かないからな。それに前線に出るのは好きだから。性分なんだ」
そう言ってメリエルはデスクの傍らに置いてあった二本の武器をとる。それは日本の武器「刀」だった。メリエルは二本流の刀使いとしてもその名を轟かしていた。「紫雨」と「五月雨」二つの刀でメリエルは常に前線に身を置いていた。
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