44人が本棚に入れています
本棚に追加
闇夜の中で動くバーにルイセントはいた。
今日も仕事の依頼だ。
待ち合わせはバー【葡萄酒】。
ルイセントが席に座るとすぐに強面の男が近付いてきた。
「お前が【童顔の死神(ベビーフェイス・デス)】か」
「ああ」
いつの間にかつけられたあだ名に苛立ちを感じつつも素直に頷く。
「依頼だ。この女を殺してほしい。お前も名前くらいは知ってるはずだ」
そう言った男はルイセントに写真を手渡した。
――メリエル・フォーリグ。
確かに写真の女はメリエルだった。黒髪に紫電の瞳などこのイタリアには滅多にいない。
「わかった。引き受けよう。金は依頼終了後でいい」
頼んだぞ、そう言って強面の男は逃げるように店を出ていった。
ルイセントは写真のメリエルを見やる。
――美人だ。しかも気の強そうなオレ好みの。だが―――
そして懐に写真をしまう。
――恨みは無いが消えてもらう
その時。
やけに派手な音と共に二人の美女が現れた。
店がざわつく。
―――今の音はなんだ?
そして二人の美女に目を向け
――驚きに目を見開いた。
なんと女の二人組の片方は今度のターゲットであるメリエル・フォーリグだった。
―――間違いない。
スーツではなく、淡い赤のドレスだったがあれはメリエル本人だ。
その横の女性も綺麗な水色のドレスでメリエルとはまたタイプの違う美人だったがルイセントにはメリエルしか目に入らなかった。彼女たちが持っていた武器にさえ。
―――なんでこいつらがこんな小さなバーなんかに…。この後どうする?このまま殺っちまうか?こいつらの後つけて、適当な所で一緒にいる女も―――
などとルイセントがメリエル暗殺を考えていた時―――
バンッ
店の扉が荒々しく開いた。
――なんだ?今日は騒がしい…
ルイセントが呆れていると男たちは銃を持ちだした。
そしてお決まりのセリフ。
「お前ら全員手を挙げろ!抵抗したら撃つ」
―――今日はなんだってんだ?
ルイセントは銃を持ち、ため息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!