0人が本棚に入れています
本棚に追加
ガラッ!!
「ふかほりーん!!」
教室のドアを勢いよく押し開けて、真っ先に俺の席に早足にやってきたのは、弥生だった。
えっへん、と自信満々な表情を浮べて俺の目の前に突き出した物は、一枚の印刷文字が入った紙切れ。
「ここ、ちゅうもーくっ!!」
ここ、と指差されたところに目を向けると、そこには「許可」の文字があった。「ん」と、白崎が覗き込み、「これ、同好会じゃん」と弥生につっこんだ。
言われて、俺は申請許可書によく目を通した。
たしかに、部という形ではなく同好会として認めるとそこには書かれている。
「『青春同好会』って……。何このネーミング」
痛いものでも見るような目で、白崎は許可書を見つめ「これじゃあ、絶対部員入らないよ……」と、哀れむ。
「おまえ、部員になってやれよ」
俺は横目に白崎を見て冗談っぽく言う。
白崎は「いやいや」と首を振り「深堀が入部してやりなよ」とウインクした。
そんな俺たちのやり取りを交互に見て「もー」と弥生は駄々をこねる子供のように頬を膨らませた。
つい、いつもの調子で悪ふざけが過ぎたことに俺たちは反省し「すまん」と弥生に謝る。
「むー。二人が入部してくれたら許す」
「はぁ……て、ちょっと待て!?」
卑怯だろ。
「いいよ」
何あっさり返事してるんだよ!?しかも、さっきと言っていることが矛盾している……
「で、ふかほりんは?」
う……。
きらきらとした目で見つめてくる弥生に、俺はたじろぐ。
ここできっぱりと断れば面倒なことに巻き込まれる心配はないのだろう。しかし、この目は……この期待の眼差しは、断ることを認めてはくれないだろうと俺は悟った。
だから俺は答える。
「……わかった。入部する。これで満足か?」
「やったー! さっそく、部室へゴー!」
最初のコメントを投稿しよう!