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「おー、君はたしか、美術部の晴海 慎一(はるみ しんいち)君!」
そうだろ?と、自信満々に俺の背後にいる人物に指を差して問う白崎。「……そうだけど? ていうか、なんでフルネーム……」と、やや不機嫌そうに返事をする晴海と呼ばれる男子生徒。振り返って見てみると、そこには、端正な顔立ちをした長身で黒髪の短髪の男子生徒が立っていた。
「……てか、アンタ、同じクラスじゃなかったっけ?」
「あ……そうだったね。覚えててくれたんだ」
「……」
口数が少ない性格なのだろう、晴海は黙りこんだまま美術室の戸を開けて、そのまま中へ入っていく。
「感じわるー……」
「!?」
美術室の隣にある準備室のドアの隙間から、ぬっと顔が現れ驚いた俺は後ろへのけぞる。
「あれ? ふかほりんと、シーちゃんだ!」
ヤッホー。と明るい声とともにドアがガラッと開くと、そこには弥生と弥生より少し背の高い男子が立っていた。
「弥生君、その人…誰?」
キョトンとしながら、弥生の隣にいる男子に白崎は指を差す。
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