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「あれ、絶対に電波さんだ」
「たしかに。てか、あの髪の色、外人?」
またもや、ひそひそと転校生の話をするクラスメートの会話が耳にはいる。
髪の色ねぇ。
ふと、弥生の頭に目をやる。
……どこをどう見ても金髪だよな。ていうか、南の島ってどこだよ?
「えーと、じゃあ弥生の席は……」
「先生、僕あそこの席がいいです!」
「ん? あぁ、深堀の隣か」
「はい!」
は?
「……」
知らぬ間に話が勝手に進んでいた。
突然のことに、俺は頬をついていた手からガクッとバランスを崩してずれ落ちる。
深堀という名字は、このクラスには俺以外誰もいない。つまり、弥生の席は俺の隣になるというわけだ。
「僕、君の隣がいい!」
無邪気な笑顔を俺に向ける弥生。
ここが共学で、もしこの転校生が女子で「君の隣がいい!」と言われたならば、たいていの男子はテンションが上がるものだと思う。
しかし、ここは男子校だ。
……別に、他の男子のように女子に特別興味があるのではないが。かといって、
俺は男色というわけではない。
「……はぁ」
俺は、全身から力が抜けたようにうなだれるのであった。
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