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眉間が寄りまくりのピッチャーと大口開けるキャッチャー。もはや、小高いマウンド上は怒号飛び交う喧嘩祭り状態。
「いいか、投手には首振る権利があんだよ!」
「お前は振ってすらいねーだろうがぁあ!」
他の内野陣はというと自分達ではもう止めることは無理だと悟ったのか。
「…‥あ~あ、始まったよ」
「コイツら本当馬鹿すぎワハハハ! ダーハハハッ!」
「お前は笑いすぎ、とりあえず監督の指示を…‥あ、駄目だ腕組みしたまま顔面蒼白してら」
どこか、他人事のように和気藹々。
これが窮地に追いやられたチームだろうか、決勝戦だというのに雰囲気はまるで草野球の練習風景と差ほど変わりがない。
「分かったよ、俺が全部三振にすりゃあ文句なしだ! なあ!」
あどけなさが残る少年は親指を立てて さも自信ありげに言う。しかし、誰一人として彼の言葉を鵜呑みにする者はいなかった。
「…‥さっきまでメチャクチャ打たれてたじゃんかよぉ」
「しかも今からの鬼打順にな」
「だぁぁあ馬鹿すぎるー! マジであり得ねー!」
ファーストは頭を抱えた、セカンドは腹を抱えて爆笑、ショートは冷静に状況判断。
投手にコブラツイストをかける捕手の鼻に指を突っ込んで反撃する投手、確認するが今は試合中である。
もう一度言おう試合中である。
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