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「本っ当、玄助(くろすけ)好きだよね?
カ・メ・ラ」
幼馴染みのあやめが、ため息混じりの声を上げた。
夕陽に染まる村を収めていたレンズから目を離すと、彼女は頬を膨らませている。
「もう」と後ろを向いた彼女の橙色の浴衣が、光輝(こうき)を放つ夕陽によく映えていた。
高校生最後の夏祭り、僕達は思い出作りに、子供の頃よく登った丘から夕陽を眺めている。
「あやめ、こっちを向いて」
僕は、ふり返った彼女へ向けてシャッターを切った。
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