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「わっ、ちょっ、いきなり?」
あやめは、白い光に目を眩ませながら僕の行為を非難する。
「早くしないと夕陽が沈んじゃうよ。ほら、笑って」
非難の言葉などお構いなしに、僕は、もう1度シャッターを切った。
黒髪のショートボブに白い兎の髪止めを乗せた彼女の表情は、高校3年とは思えないあどけなさが残る。
「やっぱり意識すると固くなるね、表情」
「そんなレンズを向けられたら誰だって緊張するよ。ああっ。もう沈んじゃってるじゃない、夕陽」
丘から見える空の眺めは、もう橙色の帯しか見えなくなっていた。
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