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汗を拭った男、凪漓風兎は背を預ける者に声を掛ける。
「今、何頭だ?」
「95」
ぶっきら棒に返したのはバディである御門柚だった。
二人は流れる汗をTシャツの袖で拭う。
風兎は、そうか、と返事をして目の前に並ぶバケモノを睨みつけた。
それらは獣竜と呼ばれる生物であり、十年前に突如姿を現し人間を駆逐し始めた。
人間は文明を地下に移し、僅かな地上を城壁で囲って生活している。
城壁外は汚染地と称される無法地帯であり、そこには獣竜がはびこっている。
普通の人間は汚染地において食物連鎖のピラミッドで底辺に位置する。
しかし、人間にも特殊な能力を持つものが存在した。
彼らはロードランナーという職に就き、アテナと呼ばれる超能力の一種で獣竜と戦うのだ。
風兎は手に持つ無数のナイフを宙に浮かすと、クルクルと回転を始めてやがては目視出来ぬ程のスピードまで達する。
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